2007年06月29日 新製品

株式会社高見沢サイバネティックスは、「早期地震警報システム(TACY-QUICK)」を開発し、西武鉄道株式会社様で採用されました。このシステムは走行中の列車に対して地震の大きな揺れが到達する前に警報を送信し、運行を停止させことができます。これにより大規模地震発生時の鉄道利用者の被害を最小限に抑えます。

1.当社地震計事業の歴史

1980年
券売機の切符を印刷するサーマル印刷の技術を活かし、メンテナンスが不要で連続的に地震波形を印刷することの出来る微小地震計(STR100)を発売
1982年
現在の当社計測震度計の基礎となる強震計(STR300)を発売
1994年
気象庁の震度測定方法が「体感」から「機械計測」へ変更になったことに伴い、これに対応する計測震度計(STR310)を発売
1995年
阪神大震災を教訓に構築することになった全国自治体の震度情報ネットワークに対応する計測震度計(STR350)を発売
2006年
次世代型震度情報ネットワーク対応の計測震度計(STR360)を発売

2.「早期地震警報システム(TACY-QUICK)」開発の背景

気象庁は、地震の初期微動を使って後から来る大きな揺れ(本震)を推定し、可能な限り素早く情報伝達を行うシステム「緊急地震速報」の先行的な運用を平成18年8月より開始しました。現在は一部の機関(鉄道、学校、病院、建設現場等)のみでの運用ですが、平成19年10月1日からは広く一般も対象になります。この様な状況のなか、当社では鉄道・建設現場等において「緊急地震速報」を有効活用できるシステム「早期地震警報システム(TACY-QUICK)」の開発を行ってまいりましたが、この度、西武鉄道株式会社様のご要望に合わせて本システムのカスタマイズを行い、ご採用いただきました。

3.「早期地震警報システム(TACY-QUICK)」概要

早期地震警報システム(TACY-QUICK)は、地震の初期微動(P波)を観測し、次に来る大きな揺れ(S波)の規模や震源位置を推定して知らせる気象庁「緊急地震速報」を受信し、鉄道沿線各箇所での予想震度・大きな揺れ(S波)の到達までの時間を西武鉄道総合司令所に表示します。また設定震度以上の大きな揺れが推定された場合は、列車無線へ地震警報を送信します。本システムは大きな地震が発生したときの鉄道の安全運行と被害軽減に役立ち、より一層の安全性が期待できます。

早期地震警報システムのイメージ
早期地震警報システムのイメージ

4.今後の展開

本システムは、気象庁の緊急地震速報を受信、活用する仕組みに留まっていますが、今後このシステムに弊社の計測震度計(STR360)を組み合わせる事で、冗長性を持ったより確実で信頼性の高いシステムを構築、提案していきます。また、このように幅の広いシステムを構築すると同時に、鉄道会社以外にも大規模工場や金融機関等への販売を進めていく予定です。

今後の展開
今後の展開
以上